幽霊と未亡人

若く美しい未亡人ルーシーは姑や小姑との同居を嫌って、幼い娘と永年のつき合いの家政婦を伴い、幽霊の出るという海岸沿いの邸を格安で借りる。するとやはり出てしまうのはお約束。だが、そこの以前の持ち主ダニエル船長の幽霊に、気丈なルーシーは驚かず居住権を確保。しかし、亡き夫の資産運営に姑らが失敗し仕送りが断たれ、生活は苦しい。そこで船長は自分の武勇伝を小説に書かせ、彼女名義で発表するよう助言。初めは有閑夫人の書くものなど、と相手にしなかった出版社も、一度読み始めたら止められぬ冒険譚に、即出版を承諾。彼女は一躍、売れっ子作家となりもそこで知り合った作家フェイヤリーと親交を持つが、これが大変嫌味な俗物で、実は女房がいるのに、彼女と結婚をエサにいい仲になろうという魂胆。小説執筆以降、彼女に好意を寄せられた船長は、実体なき自分など愛さず生身のいい男を探せ、と強がりを言って突き放したが、相手がその軽薄男となれば事情は別。猛然と反対し仲違い。彼女が自らの誤りに気付いても姿を見せることはなかったが……。

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