ダライ・ラマ14世
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チベット亡命政権で暮らす子供達は、「あるもので満足しています」と口をそろえる。その表情には教育から生まれた豊かさがある。1959年、中国の侵略と弾圧によって亡命を余儀なくされたダライ・ラマ14世とチベットの人々。彼らはインドのダラムサラで山を切り拓き、亡命政権を作りあげた。翌年には教育を開始。今では子供たちは言語だけでも英語、チベット語、ヒンディー語、未来の対話の為に中国語も学ぶ。本作ではチベット文化とチベット仏教の根付いた地、インドのダラムサラとラダックの取材を敢行。そこには今の日本が失ってしまったものが確かに存在していた。
2008年3月、中国チベット自治区でチベット人による大規模な暴動が起きた。それを機にチベットの自由を求めるデモが世界各地で起き、北京オリンピック直前には聖火リレーの妨害など、連日のように報道されていた。その時もダライ・ラマ14世は非暴力を説いた。オリンピックの精神を尊重し絶対に妨害してはならないと。そのことを覚えている人はどれだけいるだろうか。あれから7年あまり、今も変わらずチベット問題は存在する。第二次世界大戦が終結して70年。一貫して平和を説いてきたダライ・ラマ14世は、今年80歳を迎える。混沌とした世界情勢の中、2000年後の変わらぬ未来にむけて、今日も世界中を駆け回っている。