日本の保健婦さん
1937年、日本に保健所が開設されると、公衆衛生を担う専門スタッフとして保健婦が誕生しました。彼女たちは荒廃した敗戦後の地域衛生を守り、また、世界の経済大国になった日本国の繁栄の、その負の部分を支え続けてきた人たちです。
本作品の主人公の前田黎生(あけみ)さんは、昭和17年に名古屋市の保健婦第1期生になりました。大正7年生まれで95歳を超えた前田さん。足腰は衰えても心は保健婦道一筋…微塵も揺るぎません。
これは、幸せ薄いひとりの少女が数奇な運命の末に保健婦にたどり着き、時代の矛盾と格闘してきた1世紀に及ぶ物語です。