マリアの受難
マリアは神聖でもなければ、処女でもない。少女から大人へ、私の中のオンナが目を醒ます。悪夢のような情景が、マリアの頭の中を駆け巡る。少女の頃の思い出、芽生え、ファースト・キス、欲望、抑圧、罪悪…。
そして夫との結婚という「ウソ」。穴蔵のような風通しの悪い部屋で暮らすマリア。夫、そして寝たきりの実父と一緒だ。彼女が身を置く秘密めいた世界は外から完全に遮断されている。その暗闇に入っていけるのは昆虫だけだ。そしてこの昆虫も、マリアの奇妙な性癖の犠牲となる。ある朝、電話が鳴る。向いの住人からだ。二人はすぐにお互いの本質を見抜き、恋に落ちた。そして、マリアはずっと封印していた自分の過去を取り戻そうとする。