小さな花の物語
(C)1961 松竹
1961年12月15日(金)公開
小豆島のある港町の小料理屋“夜明け”に女中として働いている里村八重は、或る家の物置小屋をかりた佗しい暮らしだったが、七つになる一子を生き甲斐に苦しい生活にもじっと耐えて生きていた。八重の夫は船乗りだったが南方で戦死し、その後に一子が生れたのだ。八重の念願は夫の籍に入ってない私生児の一子を一日も早く肩身の狭くないようにしてやることだった。この八重の望みは、店のなじみで手広く海産物問屋を営む“八汐路”の隠居津村弥助との再婚で果たされそうになった。だが、津村は卒中で急死し、八重は津村の子供を生んだ。この赤ん坊は生れて間もなく死んだ。丁度乳の出盛りの八重は、女将らくの口聞きで淡路屋という百姓家に乳母として移った。