雪に願うこと
(C)2006『雪に願うこと』フィルムパートナーズ
矢崎学は、帯広の輓曳競馬場にふらりと現れた。そこで出会った丹波というジイさんに馬券の買い方を教わりながら、最後のレースでウンリュウという馬に全額を賭ける。ウンリュウは負ければ馬肉にされる瀬戸際のレース。しかし期待を裏切られ、矢崎学見事に一文無しになってしまった。町をさまよった後、彼は家族が生活している厩舎にたどり着く。学は、一流大学を卒業後、一流商社に就職し、その後自分で貿易会社を興した。ネット販売事業を手掛け、派手な暮らしに浸りきったのだ。自分の結婚式には、兄だけは仕方なく呼んだが、田舎臭い母を恥じて、死んだと偽っていた。そんな家族の元へ、学は13年ぶりに帰ってきた。厩舎で働く兄は、学を厩務員見習いとして皆に紹介し、馬の世話をさせることにする。厩務員として働く人々の中には、学の幼なじみのテツヲ、なかなか騎手になれない富永、都会の生活に憧れる湯原がいて、さらに賄い婦の晴子さん、女性騎手の牧恵、そしてウンリュウがいた。しばらくは、学も楽しんでいくが、ふるさとに帰ってきた理由が徐々に明らかになっていく。ある日、学の会社の共同経営者だった須藤が訪ねてきた。会社を倒産させ、その責任から逃れるように失踪した学を追いかけてきたのだ。須藤は裏切り者の学に見切りをつけ、後始末のため東京に戻っていく。弟の行動に不審を抱いた兄は、学を追求し真相を聞く。ウンリュウの世話をしながら学は、今の自分を重ね合わせていき、なんとかもう一度ウンリュウをレースに出し勝たせたいと必死に世話役を務めるのだった。そして最後のレースの日がやってきた。