少女ヘジャル
クルド人少女5歳のヘジャル。村が襲撃され、両親は殺されて孤児になってしまった。そして、ヘジャルは同じ村出身のエブドゥに連れられて、イスタンブールの親戚に預けられる。しかし、そこには突然武装警官隊がやってきて、銃撃戦の末に親戚一家は皆殺しにされる。ヘジャルは戸棚に隠れて難を逃れ、アパートの隣家に入り込んだ。そこには、75歳の元判事ルファトが妻に死に別れ、一人暮らしをしていた。 ルファトはヘジャルがあまりにも不憫なので、とりあえず家に置くことにする。ジャルがクルド人でクルド語しか話さないので戸惑い、家政婦として長年付き合ってきたサキネもクルド人だったことがわかった。ルファトは2人に自分の前ではクルド語で話すなというが、ヘジャルも頑固でクルド語しか使わない。2人は反発しあうのだった。そんなある日、ルファトはヘジャルのポケットに入っていたメモを頼りにエブドゥを訪ねていく。そこには故郷を追われたクルド人たちが狭く汚い場所に固まって暮らしていた。ヘジャルを返すことをためらったルファトはそのまま帰ってくる。それ以来、ルファトはヘジャルに心を開き、着るものも買い与えた。ヘジャルも次第になつき始め、トルコ語を覚え始めるのだった。
- 公開日
- 2004年6月12日(土)
- 監督
- ハンダン・イペクチ
- 脚本
- ハンダン・イペクチ
- 撮影
- エルダル・カーラマン
- 製作年
- 2001
- 製作国
- トルコ
- 原題
- HEJAR
- 上映時間
- 120
- INTRODUCTION
- アジアフォーカス・福岡映画祭2003、第16回東京国際女性映画祭でこの映画が上映され、それに伴ってハンダン・イペクチ監督は来日した。脚本、プロデューサーも兼ねた女性監督である。本作でアンカラ国際映画祭最優秀主演男優賞、最優秀助演女優賞、イスタンブール国際映画祭で観客賞を受賞するなど高い評価を受けた。 「少女ヘジャル」はトルコ文化庁の許可を得て撮影されたが、トルコ国内で公開5ヵ月後に上映禁止となった。警官がクルド人に対して残虐すぎるという理由だったという。その後監督が裁判に持ち込み、6ヶ月かかって勝訴。映画は再び上映を許可された。その後、監督個人が告訴されたが、昨年9月福岡に来る直前に却下されたという。 この映画の時代背景は1988年で、クルド人問題が最も激しい時期。トルコではクルド人の存在そのものが拒否され、クルド語も話せなかった時期があった。しかし現在ではクルドの民俗音楽のCDが発売されたり、一部の学校でクルド語教育が行われるようになった。また近年、クルド語の芝居も上演されている。
- STORY
- クルド人少女5歳のヘジャル。村が襲撃され、両親は殺されて孤児になってしまった。そして、ヘジャルは同じ村出身のエブドゥに連れられて、イスタンブールの親戚に預けられる。しかし、そこには突然武装警官隊がやってきて、銃撃戦の末に親戚一家は皆殺しにされる。ヘジャルは戸棚に隠れて難を逃れ、アパートの隣家に入り込んだ。そこには、75歳の元判事ルファトが妻に死に別れ、一人暮らしをしていた。 ルファトはヘジャルがあまりにも不憫なので、とりあえず家に置くことにする。ジャルがクルド人でクルド語しか話さないので戸惑い、家政婦として長年付き合ってきたサキネもクルド人だったことがわかった。ルファトは2人に自分の前ではクルド語で話すなというが、ヘジャルも頑固でクルド語しか使わない。2人は反発しあうのだった。そんなある日、ルファトはヘジャルのポケットに入っていたメモを頼りにエブドゥを訪ねていく。そこには故郷を追われたクルド人たちが狭く汚い場所に固まって暮らしていた。ヘジャルを返すことをためらったルファトはそのまま帰ってくる。それ以来、ルファトはヘジャルに心を開き、着るものも買い与えた。ヘジャルも次第になつき始め、トルコ語を覚え始めるのだった。
- CASTING
- ●ディラン・エルチェティン(ヘジャル) この映画でデビューした新人。当時まだ5才半で、読み書きがまったくできなかったというのに、15日間でクルド語のセリフを覚えてしまったという。そして撮影が始められた時には、ディランは脚本も台詞もすべて理解し、撮影第一週ですでにプロの女優並みになっていた。 ●シュクラン・ギュンギョル(ルファト) 1926年11月21日生まれ。トルコのチネ出身。「二十日鼠と人間」で舞台デビュー。出演した舞台作品は80近くにのぼる。99年「かもめ」で演劇賞を受賞。映画では00年「Gule Gule」でトルコ国内の主要映画祭の最優秀男優賞を受賞。主な出演作は「Goodbye!」(51)、「Ayse, My Daughter」(74)、「Away From Home」(01)など。本作でアンカラ国際映画祭最優秀主演男優賞を受賞02年9月15日、膵臓ガンのため亡くなっている。 ●フェスン・デミレル 1958年生まれ。アンカラ出身。ローマの演劇アカデミーで演技を学ぶ。その後、ベルリンの劇場で舞台に出演。84年に映画デビュー。主な出演作は、「Moon Time」(94)、「Dad is in the Army」(95)、「Runaways from Hollywood」(97)、「The Extra」(99)など。 ●I・ハック・シェン 1927年生まれ。出演した舞台作品は100以上。主な出演作は「Satan」(74)、「The Troupe」(75)、「Dad is in the Army」(95)など。また映画作品の脚本やラジオ番組の台本も手がけている。 ●ユルドゥス・ケンテル 1928年10月11日生まれ。イスタンブール出身。アンカラ国立演劇学校で演劇指導教授になる。62年「ウーマン・オブ・ジ・イヤー」に選出。81年には国民女優賞を、84年にはイタリア文化協会からアデライデ・リストリ賞を受賞。97年にはトルコ文化省から名誉賞を授与された。主な出演作は「For the Motherland」(51)、「The Desert Mouse」(77)、「Madam」(88)、「Gule Gule」(00)など。
- 配給会社
- アニープラネット