精霊流し
(C)2003「精霊流し」製作委員会
母親の夢を叶えようと、バイオリン奏者を目指して、櫻井雅彦は東京で学ぶことを決める。故郷の長崎を後にして母の妹節子の嫁いだ鎌倉の家で暮らしはじめた。その家には、後妻の節子とは血の繋がっていない春人という息子がいた。時は過ぎ、大学生になった雅彦は、小さな自動車修理工場でのアルバイトに明け暮れていた。長崎の母もすでに亡く、母の思いがこもったバイオリンは、部屋の隅に置き去りにされていた。ある日、叔母の節子が離婚して長崎に戻り、海が見える小高い丘の上にジャズバー《椎の実》を開いた。鎌倉では、雅彦と春人がともに好意を寄せていた徳恵が、雅彦への想いを打ち明けるが、半端な自分に苦しむ雅彦は、徳恵の気持ちを受け入れられない。傷ついた徳恵の前に春人が現れた。春人は長崎に向かい《母》節子と暮らし始めた。しかし、春人は海でボートから転落し、亡くなってしまう。そして、節子と雅彦は、徳恵が春人の子を身籠っていることを知った。長崎に帰った雅彦は、節子の入院を知り病院へ。見舞いに訪れた雅彦に節子が語ったのは、これまで胸の内に秘めていた1945年8月9日の遠い記憶だった。血液のガンに冒されていること、雅彦の本当の母親は節子であること。雅彦はそこで、ふたりの《母》が自分に向けていた愛情の深さと重みを、はじめて知るのだった。夏。《精霊流し》がにぎやかに始まった。節子と春人の魂を送る「精霊船」が静かに海に流れていく。
- 公開日
- 2003年9月13日(土)
- 監督
- 田中光敏
- 撮影
- 柴崎幸三
- 製作年
- 2003
- 製作国
- 日本
- 上映時間
- 109
- INTRODUCTION
- ひとりの少年が大人になってゆくさまを、暖かく静かに見守る心優しき人々。愛する母が死ぬまで胸に秘めて語らなかった、ある真実……。原作は、日本のミュージックシーンを代表するアーティスト、さだまさし。自作の名曲「精霊流し」をモチーフとした自伝的な原作小説は、2001年幻冬舎より発表され、40万部を超えるベストセラーとなった。作品の映像化を託された監督は『化粧師』の田中光敏。定評ある映像美は本作でも遺憾なく発揮され、母と子の切ない物語を情感豊かに描き上げることに成功している。主人公・雅彦役は新星・内田朝陽。堂々たるその演技は早くも大成を予感させる。その叔母・節子役に日本を代表する女優の松坂慶子。母には、美しさと清楚さが光る高島礼子。そのほか、『ロックンロール・ミシン』の池内博之、『愛する』の酒井美紀、『化粧師』の椎名桔平、『居酒屋兆治』の田中邦衛などの実力派の演技陣が出演。美しくも悲しい物語に、深い奥行きを作っている。長崎市民の協力で再現された《精霊流し》の場面が、クライマックスを鮮やかに彩る。
- STORY
- 母親(高島礼子)の夢を叶えようと、バイオリン奏者を目指して、櫻井雅彦は東京で学ぶことを決める。故郷の長崎を後にして母の妹節子(松坂慶子)の嫁いだ鎌倉の家で暮らしはじめた。その家には、後妻の節子とは血の繋がっていない春人という息子がいた。時は過ぎ、大学生になった雅彦(内田朝陽)は、小さな自動車修理工場でのアルバイトに明け暮れていた。長崎の母もすでに亡く、母の思いがこもったバイオリンは、部屋の隅に置き去りにされていた。ある日、叔母の節子が離婚して長崎に戻り、海が見える小高い丘の上にジャズバー《椎の実》を開いた。鎌倉では、雅彦と春人がともに好意を寄せていた徳恵(酒井美紀)が、雅彦への想いを打ち明けるが、半端な自分に苦しむ雅彦は、徳恵の気持ちを受け入れられない。傷ついた徳恵の前に春人が現れた。春人は長崎に向かい《母》節子と暮らし始めた。しかし、春人は海でボートから転落し、亡くなってしまう。そして、節子と雅彦は、徳恵が春人の子を身籠っていることを知った。長崎に帰った雅彦は、節子の入院を知り病院へ。見舞いに訪れた雅彦に節子が語ったのは、これまで胸の内に秘めていた1945年8月9日の遠い記憶だった。血液のガンに冒されていること、雅彦の本当の母親は節子であること。雅彦はそこで、ふたりの《母》が自分に向けていた愛情の深さと重みを、はじめて知るのだった。夏。《精霊流し》がにぎやかに始まった。節子と春人の魂を送る「精霊船」が静かに海に流れていく。
- CASTING
- ●内田朝陽(櫻井雅彦) 1982年5月30日、東京都生まれ。『死者の学園祭』で深田恭子の相手役を全国から募集した「21世紀movie star audition」グランプリを獲得し、同作品でデビュー。以後「ロング・ラブレター~漂流教室」「マイ リトル シェフ」「ブルーもしくはブルー ~もう一人の私~」などのテレビドラマにも出演し、好演技を披露している期待の大型新人。 ●池内博之(石田春人) 1976年11月24日、茨城県生まれ。モデルとして注目を集め、CM、ドラマなどで活躍。1997年『ドリームスタジアム』で映画デビュー。『チキン・ハート』『ロックンロールミシン』『偶然にも最悪な少年』『昭和歌謡大全集』などに主演。 ●酒井美紀(木下徳恵) 1978年2月21日、静岡県生まれ。1995年、『Love Letter』で日本アカデミー賞最優秀新人賞を受賞。1997年『愛する』で映画初主演も果たし、その高い演技力と清楚な魅力で人気を得る。「白線流し」大河ドラマ「葵三代」など出演。 ●高島礼子(櫻井喜代子) 1964年7月25日、神奈川県生まれ。『極道の妻たち』シリーズでおなじみ。日本テレビ「特命リサーチ200X」では頭脳明晰でクールな調査員役と幅広い演技力と多岐にわたる活動が注目される。『長崎ぶらぶら節』『千年の恋』など出演。 ●松坂慶子(石田節子) 1952年7月20日、東京都生まれ。ブルーリボン主演女優賞、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞など多数の賞を受賞した日本を代表する大女優。第43回カンヌ国際映画祭〈グランプリ〉〈国際批評家連盟賞〉の2冠に輝いた『死の棘』、『蒲田行進曲』『カンゾー先生』にも出演。
- 配給会社
- 日活東北新社
syourou