D.I.
- 公開日
- 2003年4月26日(土)
- 監督
- エリア・スレイマン
- 製作
- アンベール・バルサン
- 製作年
- 2002
- 製作国
- 仏=パレスチナ
- 上映時間
- 94
- INTRODUCTION
- 「D.I.」(ディー・アイ)はカンヌ映画祭でコンペ正式部門に初めて登場したパレスチナ映画。「戦場のピアニスト」など強力候補のなかから国際映画批評家賞の最優秀作品賞に選ばれ、正式コンペでも審査員賞を受賞、堂々2冠受賞に輝いた作品だ。中東というと暗い内容と思いきや、ユーモアたっぷりのコメディが中心。本作は、エリア・スレイマンの監督・主演の長篇第2作。第1作「消滅の年代記」(96)でヴェネチア映画祭最優秀新人監督賞を受賞して注目の監督だが、2作に主演しながらセリフはなし。カンヌ映画祭を皮きりに「D.I.」は、ヨーロッパ各国やアメリカで公開されてロングランヒット中。本国では、パレスチナのラマラに残る唯一の映画館で上映、ナザレほかイスラエル領では危ぶまれながらの一般公開だった。スレイマンの監督は、欧米で“パレスチナのキートン”、“笑いの殺し屋”、“笑いのファンタジスト”と絶賛されている。第55回カンヌ国際映画祭正式招待作・国際批評家連盟賞、審査委員賞受賞。
- STORY
- エリアは父を看病しながら愛するマナルに思いをはせる。エリアはイスラエル占領下の東エルサレムに住んでいるが、マナルはパレスチナ自治区の街ラマラの女性だ。ラマラとエルサレムの間にはイスラエル軍が厳重監視するアル・ラムの検問所があり、ラマラ側からの白いプレートの車は追い返されて通過できない。エリアがマナルとデートできるのはアル・ラム検問所の駐車場のわびしい一角だ。マナルはエルサレムに入れない。マナルが検問所を通過できる機会を待つだけだ。終始無言のふたりは車内でハンド・セックスで心をかわしあう。エリアは、ある日ついに検問所を通過を企てる。赤い風船をヘリウムで膨らませ、風船にはパレスチナ自治政府のアラファト議長の顔。イスラエル兵たちが敵の総大将の顔を見て慌てる隙に、エリアはマナルとともに検問を突破する。こうしてエリアは東エルサレムのアパートにマナルをかくまった。ところが、マナルがいなくなった。エリアは父の看病をつづけながらエリアはマナルを探し求める・・・。
- CASTING
- 監督/エリア・スレイマン 1960年7月28日ナザレ生まれ。82年からほぼ10年間ニューヨークに移り住んで、中編ドキュメンタリー映画「論争の終わりのための序章」(91)、短編「殺人というオマージュ」(92)を発表。1993年にナザレに帰る。長篇劇映画「消滅の年代記」(96)を完成して、96年ヴェネチア国際映画祭で最優秀新人監督賞を受賞。「アラブの夢」(98、短編)、「サイバー・パレスチナ」(00、短編)を発表。主な監督作品は、「論争の終わりのための序章」(91)、「消滅の年代記」(96)、「アラブの夢」(98)、「サイバー・パレスチナ」(00)がある。