本日1月29日、ベトナムの旧正月(テト)の元旦に『その花は夜に咲く』予告編と併せて新たな登場人物や90年代ベトナムの息遣いを感じられる場面写真6点が解禁された。
1998年のサイゴン。都会の片隅に貧しくもつつましく、愛し合いながら生きる恋人たち。望まぬ性に生まれたサンはナイトクラブで歌い、ナムはボクサーとして懸命に暮らしていた。ある日、街のフィクサー・ヴーンがナイトクラブに現れ、ステージで妖しくも華麗に歌うサンに目が釘付けになる。手術費用のため、ヴーンと逢瀬を重ねるサン。彼女を愛し、その思いを知るナムは、より稼ぎの良い闇の地下格闘技に手を染めてゆく…。容赦のない夜の世界に飲まれてゆく二人。愛ゆえにすれ違う二つの魂。嫉妬や裏切り、焦りや不安ーー運命の歯車が狂いはじめる…。激しく切なすぎる二人の愛はどこへ向かうのかーー。
予告編は、眠るサンの傍らで「お前はもう完璧な女だよ」と呟くナムの哀しげな姿から始まる。そして愛し合う二人が直面する困難が映し出され、手術費用のために街のフィクサー、ミスター・ヴーンと逢瀬を重ねるようになるサンの憂いに満ちた表情が胸を打つ。
■『その花は夜に咲く』予告編
中盤、すれ違っていく二人の前にある女が現れ、その愛の物語に嫉妬や裏切り、焦りや不安が影を差し始め、大きな渦に飲み込まれていく様が描かれる。ラストは「愛し合う二人にこの街は残酷」という印象的なキャッチコピーで締められ、二人に待ち受けるドラマチックな物語を暗示させる予告編となっている。また『侍タイムスリッパー』に出演する名バイプレイヤー、井上肇がミスター・ヴーンを圧倒的な存在感で演じているのも見逃せない。
長編デビュー作『第三夫人と髪飾り』が世界の映画祭で数々の賞を受賞し大きな注目を集めたベトナムの新鋭アッシュ・メイフェア監督、待望の長編第2作。望まぬ性に生まれたサンと、ボクサーのナムとの愛の軌跡を、監督自身の中学時代の経験や記憶、トランスジェンダーの友人をモデルに、鮮烈なラブストーリーに創り上げた。「ベトナムでは今もなお、トランスジェンダーコミュニティは政府や社会から厳しい批判を受けています」とメイフェア監督が語るように、果敢にタブーとも言えるテーマに挑んでいる。
3月21日(金)〜シネマート新宿ほか全国順次公開